■なぜイタリアでペレットストーブがヒットしたか?■

 世界で最もペレットストーブが普及している国イタリアでは既に約100万台使用されています(2010年自社調べ)。一方、日本では約1万台に止まっています。10~20万台売れると商品が一人歩きし始めると言われていますが、ヒット商品かどうかはその販売数で判断できます。イタリアでは日本と何が違いヒット商品となったかを考えてみる必要があります。

 

 ペレットストーブの燃料は木質ペレットです。環境に優しい化石燃料に換わる燃料として世界中で注目されています。ペレットストーブとペレット燃料は車の両輪で、それぞれがちゃんとしたものでなければ良い結果がでません。幸いイタリアでは1995年頃の開発の最初の段階から優れたペレットストーブが発表されてきたので、まず「ペレットストーブは素晴らしい!」と評価されました。それが現在の大衆向け製品として普及してきた原因です。なぜ最初から優れた製品を発表できたのか?それはアルプス山脈周辺ではずーっと薪を燃料として使用し続けてきた文化があり、戦後全面的にガスや石油の文化に乗り換えてしまわなかったからです。木の燃焼について熟知している人達が開発しているので、ペレットストーブという新分野でも木の燃焼理論に忠実に作れたと考えられます。よく知っているが故に完全燃焼、高効率燃焼を達成するための燃料供給量と酸素供給量の比率を手動調整するという考え方はありません。いろんな人が使用する器具で、皆が最適条件で使用できるという事はあり得ないからです。手動で各自勝手に燃料供給量と酸素供給量を決めると、不完全燃焼が原因で知らずに一酸化炭素を排出したり、がんがん燃やしてもなかなか温まらなかったり、ストーブ自体がオーバーヒートして火災の危険に曝されたりすることが考えられます。ですからイタリアでは最初から燃料供給量と酸素供給量はマイクロプロセッサによって自動的に最適値が設定される仕組みです。燃料の種類や使用される条件により多少変更できる程度です。

 優れた製品を生み出せた他の原因としては日本同様に車産業が発展していて、金属加工技術が進んでいる事と、優れたデザイン性があげられます。ペレットストーブは快適なインテリアの一部でなくてはなりません。夏でも存在していて快適に感じるデザイン性が重要です。

 

 ペレット自体はオーストリア規格を基に高品質で安定した品質のものが普及しているため、誰でもどこでも安心して購入する事ができます。木を燃やすことの難しさや問題点を長年の経験と失敗に基づいて育ててきた規格なので、過去に外国で経験された失敗を繰り返さないために、生産開始前にこの規格をよく学ぶ必要があると考えます。ペレットは形ばかりでなく中身がもっと重要だということを認識する必要があります。

 

 日本でペレットストーブを普及させるためには上記の条件を一つずつクリアして行く必要があると考えます。